飛行機関連

昨今の飛行機と管制所の通信事情

飛行機の通信は飛行機と管制所の距離によって使用する電波が違います。
飛行機が陸地の近くを飛ぶときは管制所が近いのでVHF(Very High Frequency)と言う比較的波長が短い電波の種類を使います。

大体、飛行機と管制所の間が200nm(約360km)位までなら何とか通じます。
警察とか消防が使っている電波と同じようなもので非常にクリアで雑音のない交信ができます。
空港内もこの電波を使います。

しかし太平洋上など地上施設がないところではVHFは使用できないのでもう少し波長の長いHF(High Frequency)と言う電波を使います。
この電波は電離層に反射しながら飛んでくるので非常に遠いところとも通信できます。
たとえば日本とアメリカとの交信も可能です。

ただこれは太陽のフレアとか電離層の状況等、外部環境に左右されますので非常に雑音が多く、聞きにくい電波です。

たとえばアメリカに行く場合、一定の場所で位置通報を行うのですがピーピーガーガーと言う中で必死に聞き取ろうと頑張っていました。
耳には悪いですね。

このHFは私がパイロットになった以前から使われている非常に古典的な通信手段なのですが、使用頻度は少なくなったとはいえ、未だにその役目を終える気配はありません。

ただ航空通信はここ最近目覚ましく発達しており太平洋上ではADS(Automation Dependent Surveillance)/CPDLC(Controller-Pilot Data Link Communication)と言う衛星を使ったデータリンクを使って管制をしています。

これは飛行機と管制センターの間でCPDLCの確認が一度取れると、それ以降、ADS/CPDLCが飛行機の位置を衛星で把握し、位置通報も自動的にやってくれます。

今ではこの装置を装備している飛行機は、太平洋上では管制所の移管時にHFで一度通信する以外(日本からアメリカ西海岸に行く場合)、音声による通信を行いません。

高度変更の時もこのCPDLCを使いリクエストを行い、承認もCPDLCを通してテキストで画面に出てきます。

パイロットとしてはHF通信をしなくなった分、かなり楽になりました。
最近では陸地の上でも使われているところもあります。

技術の進歩はすごいものです。

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