飛行機関連

燃料がない!?

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ちょうど1年前の11月28日、コロンビア第2の都市メデジン(Medellin)近郊でブラジルのサッカーチーム、
シャペコエンセ(Chapecoense)の選手が搭乗していた飛行機が墜落したのをご記憶でしょうか?

決勝の試合に出るための移動だったとか・・・・あまりにも悲惨な出来事でした。

このような悲劇は過去にもありました。
これは「ミュンヘンの悲劇」と言われる西ドイツで1958年に起きた
マンチェスターユナイテッドのチャーター機が離陸に失敗した事故です。
この時は8人の選手がなくなったそうです。

今回は墜落ですので大きな事故となり、数人の選手は助かったようですが、多くの選手が亡くなりました。

事故原因はフライトレコーダーやボイスレコーダーによってある程度解析をされており、
本来は燃料補給のために目的地に行く途中で他の空港に着陸をする予定でしたが、
出発が遅れ給油ができずそのまま燃料補給無しに目的地まで飛行をしたそうです。

事故当時も墜落前のパイロットと管制官のやり取りが一部テレビで紹介されており、
燃料切れが墜落の原因ではないかと言われていました。

この飛行機はボリビアのチャーター専門会社ラミア航空が運航していたものですが、
「燃料切れ」と言う事態は我々エアラインパイロットにとってはにわかに信じられない事です。

燃料は目的地までに必要な量を搭載するだけでなく、目的地から代替飛行場(目的地の天候が悪い時に代わりに降りる空港)への燃料、
30分の待機燃料、Contingency Fuel(その時のフライトのいろいろなファクターによって決まる燃料、短い距離だと15分の飛行分程度)、
また時にはExtra Fuelと言ってその飛行の燃料が法定搭載燃料に満たない場合や、
天候が悪いと言うような理由でパイロットの判断により搭載する燃料等を勘案の上、搭載燃料を積み込んでいます。

搭載燃料=(目的地までの燃料)+(目的地から代替飛行場への燃料)+30分の待機燃料+Contingency Fuel+Extra Fuel

ですので「燃料がない」と言う事は目的地までの燃料以外の燃料(本来着陸した時に残る燃料)をすべて使い果たしたか、
若しくはそもそも目的地までの燃料までしか積んでいなかった(これはあり得ない事だと思いますが・・・)と言う事以外考えられません。

天候が悪かったと言う事ですので、ひょっとすると空港上空で待機をして燃料を使い果たしたかもしれません。
しかし上空で天候が良くなるのを待つにしても、待機燃料(これは本来は代替飛行場上空で使用する事が前提となっている)
とExtra Fuelの消費分しか通常は待機しません。
そこまで待機して天候が良くならなければ代替飛行場へ向かう決断をしなければなりません。

「燃料がない」と言うのは代替飛行場へ向かう燃料さえも使ってしまった状態です。
そうだとしたらこれはパイロットの判断ミスの可能性が大きいですね。

今回のチャーター機の航空会社がどの程度きちんと運航していたかわかりませんが、
少なくとも私たちが乗る航空会社ではこのような事はまずありえませんのでご安心ください。

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