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インドネシア LCC ライオンエアー機が墜落!|Flight Radar24で飛行状況を分析

 

2018年10月29日早朝(現地時間午前6時半、日本時間8時半)インドネシアのLCC ライオン航空の旅客機(乗員8人と乗客181人の計189人搭乗)が消息を絶ちました。

現在分かる飛行情報を以前ご紹介したFlight Radar 24にて追跡してみます。

当該機の便名はJT610便、ジャカルタ発パンカルピナン行き、定刻は現地時間6時10分発(日本時間8時10分)、目的地到着予定は午前7時20分です。

パンカルピナンはジャカルタの北442kmのところに位置している都市、ちょうど直線距離で東京から大阪くらいの距離で、飛行時間は約1時間ほどです。

 

機種はB737MAX8、B737の派生機で初号機の納入が2017年5月の最新鋭機です。(機種の詳細は後述します)

当該機はFlight Radar 24によると午前6時21分に離陸しています。
定刻が6時10分(ゲート出発)ですのでほぼ定刻どおりの出発です。

当該機の離陸直後の高度と速度は非常に不可解・・・?

 

当該機であるB737の離陸速度(浮揚速度)は135kt前後(時速243km)だと思われますが、低高度で300kt以上に加速しています。

まずどのようなところが不可解なのかわかり易くするために現在、世界で行われている一般的な離陸について説明します。

 

通常、現在の多くの航空会社では騒音軽減離陸(Noise Abatement Take Off)を行っています。
これは対地高度3000ft(フィート・・・1000m)まで離陸速度プラス10ktで上昇するもので、途中1500ftでエンジン出力を上昇推力に落とします。
対地高度3000ftに達したら250ktに加速、その過程でフラップを格納します。

その後10000ftまで250ktで上昇してから300kt以上に加速するのが一般的です。

当該機は早朝の離陸であり、また陸地の上空を飛んでいることからすると騒音軽減離陸を行うべき状況と思われます。

だとすれば高度3000ftまで145kt前後であるべき速度が低高度から300kt以上に加速しているのは異常と言えます。

ただ離陸には騒音軽減離陸以外の離陸方法もあり必ずしも異常とは断定は出来ないのですが、それにしても1000ft以下で210ktまで加速、その後300kt異常まで加速しているのは不可解としか言えません。

また高度の時系列を見てみると上昇が安定していなく、数百ftですが上昇降下を繰り返しています。
それに伴って速度も不安定です。

当該機は5000ft前後まで上昇したあと左旋回をして急激に高度を落とし、それと同時に速度が345ktまで加速しています。
この速度は明らかに急降下によって加速したと思われます。
(345ktと言う速度は最大速度に近い速度です。)

最後の記録は離陸してから10分後、高度3650ft、速度345ktです。

今の段階ではあくまで推測の範囲でしかありませんが、明らかに上昇が不安定ですので何らかの操縦系統のトラブル、若しくは操縦を不安定にする要因があったのかもしれません。

報道によるとによると出発前になんらかのトラブルが有り、その対処後に出発しているようです。 また機長より引き返すと言う連絡があったようです。 トラブルがどのようなものか分かりませんが、飛行状況を見た限りかなり不安定な飛び方をしていますので、何らかの故障で操縦不能となり墜落した可能性が出てきました。

海面に油や機体の破片が発見され墜落は確定的となりました。 早い原因究明が待たれます。

ライオンエアは過去にも事故を起こしていた!

ライオンエアは1999年に設立された格安航空会社です。
同社は、近年成長が著しいインドネシアの航空市場に支えられ急成長を遂げ、国内線のシェアはトップです。
しかし安全に問題があるとして他のインドネシアのすべての航空会社と共に2007年に欧州委員会からEU域内のへの乗り入れが禁止された過去を持ちます。(現在は解除されている。)

過去の事故の中で大きなものは2004年11月 MD-82が着陸に失敗、乗員乗客163人中乗員1人乗客24人死亡、2013年4月にもデンパサールの滑走路の手前で大破、死亡者はでなかったものの乗員7名・乗客101名の計108名のうち40人以上が怪我をしています。 この時も今回と同じようにBoeingから受領したばかりの新造機だったようです。

 

保有機は2016年10月現在111機(B737、AirbusA330)、現在はもう少し多いと思われます。 またボーイングとAirBus社に発注している機数は何と613機、すべてが納入されるとは限りませんが、ものすごい数です。

約19年のうちに3回の着陸失敗(上記のほかに滑走路から外れた事故有り)、これはかなり多いほうです。

急成長の影に安全性が後回しにされたのでしょうか? もしそうだとしたら航空会社として本末転倒、許されないことです。

B737MAX8と言う飛行機とは

ボーイング社が製造するボーイング737の第4世代の小型ジェット旅客機で、B737NG(Next Generation)をベースとして作られた最新鋭機で、ライバル、エアバス社のA320neoの対抗機です。

B737MAX8の名称はB737-800(NG)の後継機と言うことです。

座席数は162席から210席、巡航速度はマッハ0.79です。

当該機はライオンエアーがBoeingから8月に受領したばかりの真新しい飛行機だったようです。

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