滞在記

思い出深いアラスカ アンカレッジ

多くの皆さんはアラスカのアンカレッジと言う地名は一度聞いたことがあると思いますが、行ったことがある方は少ないと思います。

(以前書いたように昔はシベリアの上空は飛行できませんでしたのでアンカレッジー北極経由でヨーロッパに行っていました。そのため中年以上の方であればヨーロッパやニューヨークへのフライトの中継地として空港に降り立った経験がある方は多くいると思いますが・・・。)

昔、飛行機の航続距離が今ほど長くなかった頃、アンカレッジは燃料補給地としての役割を担っていました。

例えば日本からヨーロッパ、ニューヨーク、シカゴ等に行くには直行できる十分な燃料を搭載できなかったので一度アンカレッジに寄港して燃料を補給してから行っていました。
(正確には燃料を満タンに搭載すれば直行できたのですが、そうすると飛行機の重量の関係で乗客を減らさなければなりませんでした。)

アンカレッジまでの飛行時間は風にもよりますが、6時間前後ですのでアンカレッジでは乗員交代になります。

大体、アンカレッジで1泊して次の目的地か東京への乗務をしていました。

という事でアンカレッジの滞在は必然的に他の都市より多くなり、私の場合でも滞在は1000回を超えていると思います。

1000回以上と聞いて「本当?」と思うかもしれませんが、事実です。

ちょっと計算してみますね。

アンカレッジ経由のフライトが月に2回あったとします。
行き返りで1泊ずつしたとして、月に4回アンカレッジに滞在します。

1年で48回、私は北米路線やヨーロッパ路線を飛ぶことが多かったので正確ではないですが、パイロット人生の内の25年くらいは
アンカレッジ経由のフライトを行っていたと思います。(もっと多いかもしれません。)

とすると48回×25年で1200回となります。

改めて計算してみると自分でもすごい数と驚きます。

さらに私は副操縦士のころアンカレッジから北極経由ヨーロッパ行きの交代乗員としてアンカレッジに2年間住んでいた事があります。
今は実施していませんが昔はステーションクルーと言って交代要員を数十名アンカレッジに配置していたのです。

と言う事でアンカレジは私にとっては非常に思い出深い場所となっています。

東京とアンカレッジ間の航路

NOPACルート

東京とアンカレッジの間には特別な航路が決められています。
NOPAC(North Pacific)ルートと言いますが、5本平行に設定されています。

北海道の太平洋沖からカムチャッカ半島の南を飛行してアラスカ半島に向かいます。

一方通行になっていることが多いのですが、完全な一方通行ではなく上空の風の状況(追い風、向かい風)でその日の東京、アンカレッジ間の航路が決まります。

このルートは北米に行くルートの一部にもなっており、特に夜はかなりの数の航空機が飛行しています。
この状況は依然にご紹介したFlight Raderと言うアプリで見ることができます。

アンカレッジ空港の役割

アンカレッジ空港の正式名称はテッド・スティーブンス国際空港と言います。
テッド・スティーブンス国際空港と言う言い方は乗員の間でも一般的ではなく通常アンカレッジ空港と呼んでいることが多いです。

前述したようにアンカレッジは今も昔も燃料補給地としての役割を担っています。

今は飛行機の航続距離が長くなったため旅客機の寄港はなくなりましたが、現在では貨物便の燃料補給地となっています。

ヨーロッパへ行く中継地となっていた当時は空港ターミナルも盛況で多くの免税店がありましたが、今は何もなく見る影もありません。

飛行機の航続距離が長くなったのに、なぜ貨物便だけが今もアンカレッジに寄港しているか不思議に思いますよね。
これには理由があります。
貨物便は貨物を満載して運航することが多いのですが、貨物を満載すると目的地までの燃料が搭載できなくなるのです。
飛行機は最大離陸重量が決められており、その重量の大きな割合を貨物が占めてしまいますので、燃料が多く積めないのです。
という事でアメリカの貨物専用航空会社の大手のFedExやUPS、日本のNCA(日本貨物航空)、その他航空会社の貨物機が多く寄港しています。

アンカレッジでの宿泊ホテル

キャプテンクック
(画像はホテル キャプテン クック)

アンカレッジでの乗員の宿泊ホテルは多くのエアラインで共通しています。
大きく分けて二つのホテルに宿泊しています。

一つはザ ホテル キャプテン クック(The Hotel Captain Cook)、もう一つはヒルトン アンカレッジ(Hilton Anchorage)です。

どちらもアンカレッジのダウンタウンの中心部に位置していて便利なホテルですが、どちらかと言えばキャプテン クックの方が高級でアンカレッジの最高級のホテルの一つです。

夏場、アンカレッジはアメリカ人にも人気があり、ほとんどのホテルが満室になるほど賑わうのですが、冬場は一般の旅行客はほとんど居らず、上記ホテルでは各エアラインの乗員ばかりになります。(笑)

大体、アンカレッジの出発時刻が偏ることが多いのですが、その時間帯、ロビーには多くの乗員が集まります。

ユニホームもいろいろで旅客便を運航しているエアラインはネクタイをした通常見慣れているユニホームを着ていますが、貨物専用航空会社の中には革ジャンを着た乗員も見られます。

アンカレッジの街

アンカレッジの街

アラスカと言えばアンカレッジが有名ですので州都はアンカレッジと思われている方が多いかもしれませんが、実際はもっと南にあるジュノーと言う街が州都です。

アラスカで一番人口の多いのがアンカレッジで30万人前後、2番目がフェアバンクス、3番目がジュノーと言う事になっています。

アラスカはアメリカで一番大きな州ですが、もともとアメリカの領土ではなく1867年にロシアから720万ドルで購入されたものです。
州として登録されたのはずっと遅く1959年です。

アンカレッジの街並みは日本の地方都市の様な風情で決して大きな街ではありません。

メインストリートはフォースアベニュー(4th Avenue )と呼ばれており、多くのお土産物屋やレストランが軒を並べています。
またヒフスアベニュー(5th Avenue) にある5th Avenue Mallはアンカレッジで一番大きいショッピングモールで、CoachやBanana Republicと言ったブランド店やAppleストア、アメリカのデパートのNordstromやJC Penny、その他多くの店が入っています。

ところでアンカレッジ(アラスカ州)での買い物時に消費税がかからないと言うのはご存知でしょうか?
アメリカの消費税は州や都市によってパーセンテージが違いますが、大体8%前後、それがアンカレッジはゼロなのです。
(アメリカで消費税がかからない州はいくつかありますが(例えばオレゴン州等)、アラスカ州もその一つです。)

消費税がかからない分、他の税金が高い場合が多いようですが、旅行者にとっては関係ありませんのでうれしい制度です。

アンカレッジで乗員になじみの日本食レストラン

熊五郎

アンカレッジには寿司を含む日本食レストランが結構あるのですが、我々日本人乗員の間ではホテルから近い熊五郎と言うレストランがなじみでした。

熊五郎は今でもありますが、昔は今ほどメニューがなく小さなラーメン屋でした。
夜になると顔見知りのパイロットやCAでいっぱいになり、いわゆる社員食堂のようでしたね。
現在は店も大きくなり寿司を含む総合的なレストランになりましたが、貨物便でアンカレッジに行った時は今でも良く利用していて、夜食用(朝食用)のおにぎりをテイクアウトしたりしていました。

徒然なるままに書いていたら結構長くなってしまいました。

今回はこれまでとして、次はアンカレッジの暮らし、観光、フィッシング、等について書いていきたいと思います。

続く

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