飛行機に搭乗すると十分にエアコンが効いていて、もちろん電気もついていますが、これはどこからエアーや電気が供給されているのでしょうか?
地上設備・・・?
地上設備の時もありますが、たいていの場合は違います。
飛行機には例えばB747では4つ、B777では2つエンジンがついていますが、実はもう一つエンジンがついているのはご存知でしょうか?
それはAPU(Auxiliary Power Unit・・・オグジリアリィ パワー ユニット)と言うエンジンです。
多くの飛行機は飛行機の一番後ろ、しっぽの部分に装備されています。
(画像はB777のAPU Outlet・・・排気ガスの出るところです)
空港で飛行機のしっぽを見てください。
ゆらゆらとエンジンの排気ガスが出ているのがわかると思います。
APUは通常のエンジンと構造は同じタービンジェットで、Pneumatic Systemよりエアコンのエアー(Bleed Air)を、ジェネレーターから電気を機内に供給しています。
APUにはこの他に重要な役割がある
それはエンジンスタートの時です。
飛行機のエンジンスタートはエアースターターを用いますが、この時エアコンで使用していたエアーを使います。
客室にいるとエンジンスタートの時にエアコンが止まり静かになりますがこのためです。
エンジンスタートを外から見ているとヒュ~ンと言う大きい音と共にエアーが噴き出してきますが、エアースターターが作動してエンジンのタービンを回しているところです。
さらにもう一つ重要な役割があります。
B747の様に4発の飛行機は飛行中、APUの使用を禁じている事が多いのですが、B777の様な双発の飛行機は飛行中エンジンが不作動になった時の電気のBackUpとして使用します。
4発の飛行機はエンジンが全部停まる事を想定していませんのでAPUを飛行中に使用する手順は設定されていませんが、使用できないという事ではありません。
飛行中にAPUを作動させた事はありませんが多分普通にかけることはできると思います。
(高度が高いと無理かもしれませんが・・・)
時々APUが故障して使えない時があります。
この時、エアコンや電気、エンジンスタートはどうするかという事ですが、この時は地上設備を使います。
エアコンは機体の下(主翼より少し前)に大きなダクトを接続して空調されたエアーを機内に送ります。
電気は機首の下に大きな電気プラグを差し込み外部電源を使います。
この場合のエンジンスタートは少し厄介です。
一つ目のエンジンは外部からのエアーを使いエンジンをスタートさせますが、もともと外部からのエアーは力が弱いので、残りのエンジンはスタートしたエンジンのパワーを少し上げ、そのエンジンからのエアー(Bleed Air)でスタートします。
これをクロスブリードスタート(Cross Bleed Start)と言います。
頻繁にはありませんが、私も何回か実施した事があります。
ちなみにエンジンは右の主翼のエンジンからスタートする事になっています。
B747だと右の主翼の一番外側のNo4エンジンからスタート、次にその左のNo3エンジン、次に左の主翼の内側のNo2エンジン、最後にその外側のNo1エンジンをスタートします。
"Start Sequence 4、3,2,1"(スタートシークエンス フォ、スリー、ツウ、ワン)と地上の整備士に連絡してスタートします。
B747-400ではAPUのエアーの力が強いのでNo4とNo3、No2とNo1、両方同時にスタートする時もあります。
B777の様な双発の飛行機は右のエンジンをRight Engine(ライトエンジン)、左のエンジンをleft Engine(レフトエンジン)と呼んでいます。
“Start Right Engine”、 “Start Left Engine”と言ってエンジンスタートを行います。
APUですが当然の事ながら燃料を使います。
昨今、燃料が高騰しているために駐機場ではなるべくAPUを使わずに地上設備を使う事が推奨されています。
従ってAPUは着陸後駐機場に入る前までにスタートして、その後駐機場に入りエンジンを止めた後地上設備が用意できた時点でシャットダウン、その後出発前にAPUを再度スタートさせると言う使い方をしている事が多くなりました。