飛行機関連

飛行機はどこまで自動操縦・・・? 続編 (着陸編)

 

前に飛行機の自動操縦の概略について説明いたしましたが、今回は着陸時の自動操縦について少し詳しく説明したいと思います。

前の記事はこちらからどうぞ。

飛行機はすべての着陸が自動着陸できる訳ではない。

着陸は全自動で行う事が可能ですが、すべての状況で自動着陸が行える訳ではありません。

まずは着陸において自動操縦が使用できないケースを説明いたします。

一つ目は滑走路の地上設備が自動着陸に適していないケースです。

自動着陸には滑走路にILS(Instrument Landing System・・・計器着陸用施設)と言う精密進入が出来る施設が設置されていることが大前提です。
このILSにも性能の差があり天候によって出来る自動着陸の種類が変わってきます。(これについては後述します。)

二つ目は風による影響です。

自動操縦装置には風の強さ、方向によって使用限界があり、一例で言えば横風が10kt、前方からの風が20kt(機種によって違い、飛行規程を元に会社が運航規定で定めます。)を超えると実施してはいけない事になっています。
(これは飛行機の自動着陸装置の限界です。多少マージンを取っているので上記限界を多少超えたとしても着陸は可能かも知れませんが・・・)

三つ目は使用できないということではありませんが、天候の良い時はパイロットの殆んどは手動で着陸を行います。
前にも書きましたがこれはパイロットにとっての醍醐味でもあります。

上記、3ケースの場合が手動で着陸するケースです。

天候が悪い時には自動着陸!

天候が悪い時と言ってもいろいろありますが、特に霧や前線の影響による低視程の場合には安全上、自動着陸が推奨されていますし、天候によってはマニュアル上、自動着陸を行わなければならない事があります。

これには二つの理由があります。

ひとつはダックアンダー(Duck Under)防止のためです。
ダックアンダーと言うのは飛行機が霧や雲の影響で視界が悪い中で着陸を行うとき、パイロットが滑走路や進入灯を目視でよりはっきり見ようとして、必要以上に機首を下げてしまう事です。
分かり易く言うと目の前に壁があり、前方が見えないときに下が開いていれば頭を下げて覗き込もうとしますが、この様な状況です。

これはショートランディング(Short Landing)と言って適切な接地点よりかな手前に着地してしまう原因になり危険なものです。
またハードランディング(強い衝撃で着地すること)になることが多くなります。

 

上記の状況はカテゴリーⅠアプローチ(カテゴリーワンアプローチ・・・CATⅠ)と言って進入限界(ミニマム)を高度200ft以上、視程 550m (1800ft) 以上に設定してアプローチし、ミニマムで滑走路を視認後、自動操縦を解除した場合に起こりがちです。

このアプローチはパイロットの審査要件にあり、必ず訓練・審査を行いますが、実際の場合、自動着陸が出来る場合は自動着陸をしたほうが安全です。
自動着陸の場合、ダックアンダーは起こり得ません。

もうひとつは低視程のために周りの景色がぼやけて人間の感覚では適切なフレアー操作(着陸時の機種上げ)が出来ない場合です。
この場合は必ず自動着陸を行わなければなりません。(逆に自動着陸が出来ない状況では着陸は出来ません。)

 

このケースはカテゴリーⅡアプローチ(カテゴリーツウアプローチ・・・CATⅡ)とカテゴリーⅢアプローチ(カテゴリースリーアプローチ・・・CATⅢ)と呼ばれるものです。
この先は少し専門的になりますのでご興味がありましたらお読みください。

カテゴリーⅡアプローチと言うのは高度100ft以上200ft未満・ 視程350m (1200ft) 以上(航空会社によって設定値は違います。)に設定して行うアプローチです。

カテゴリーⅢアプローチはCATⅢA、CATⅢB、CATⅢCと三種類に分かれています。

CATⅢAは高度100ft未満、若しくは設定なし、視程 200m (700ft) 以上に設定して行うアプローチ、
CATⅢBは高度50ft未満、若しくは設定なし、視程 50m (150ft) 以上、200m (700ft) 未満に設定して行うアプローチ。
CATⅢCは前回、ご紹介した0-0 Landing(ゼロゼロランディング)と言うもので何も見えなくても着陸OKというものです。

日本ではCATⅢBまで行っている航空会社はありますが、CATⅢCを行っているところはありません。
また出来る空港もありません。
しかし冬場、深い霧に覆われる事が多いヨーロッパでは比較的早く普及しています。

私はシミュレーター(模擬飛行訓練装置)でCATⅢB、視程50mで着陸したことがありますが、視程50mはどんな感じかと言うと、目の前のセンターライン(センターラインライト)しか見えません。
センターラインを頼りに駐機場まで向かうことになりますが、案内板が接地されていますのでチャートと照らし合わせていけば到着できます。

 

これらのカテゴリーアプローチは全天候(All Weather)運航と言いいます。
全天候(All Weather)運航のCATⅡ、CATⅢアプローチがが出来るようになった事によって天候による目的地変更(ダイバート)は劇的に少なくなりました。

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